「総合診療」はすべての領域にわたってありふれた病気の診療をするものです。総合診療医は、体の具合が悪くなったり、健康問題が起こったりしたときに、まず相談できる街のかかりつけ医です。病院内の各診療科や近隣の医療機関、福祉、行政等と緊密に連携を行いながら、トータルケアします。
当科では、EBM（根拠に基づいた医療）を実践しています。最新の研究データ（エビデンス）を踏まえつつ、患者さんやご家族のお考えやご希望、当院の置かれている環境などを考慮して、患者さんにとって最善・最適な医療を提供しています。
また、総合診療科は臨床医を育成する場でもあります。

診療内容・特色

現在、入院診療、外来診療、救急診療、訪問診療、健診を担当しています。総合診療科が特に得意としていることは以下のとおりです。

①ありふれた病気の包括的なマネジメント

特に嚥下性肺炎、尿路感染症、心不全、脳卒中、糖尿病などの動脈硬化性疾患、COPD、気管支喘息、骨粗鬆症などのありふれた病気の包括的なマネジメントは当科の得意とするところです。予防医療も重視しており、ワクチン接種や、さまざまな検査を行い、まるごと体をチェックする「トータルチェック入院」も可能です。お忙しくて入院は難しいという方は外来でも対応いたします。
入院診療では、肺炎、尿路感染症、胆道系感染症、蜂窩織炎、椎体椎間板炎などの感染症、脳梗塞、心不全、脊椎圧迫骨折、悪性腫瘍（がん）の緩和ケアなど、多領域に渡る健康問題を多く診療しています。他の診療科の専門医や各医療専門職とチームを組んで対応いたします。日々綿密に議論を重ねながら診療方針を考え、患者さんご本人とご家族を交えて最終的な診療方針を決めます。

②多疾患併存・ポリファーマシーの管理

多数の病気や健康問題を抱えていて診療領域をまたいだ対応が必要な症例のマネジメントに慣れています。また、多剤併用で管理が困難になっている患者さんの薬剤整理なども得意としています。総合診療科外来でも対応いたしますし、薬剤整理を目的とした1週間程度の「薬剤整理入院」も可能です。

③複雑な社会背景がある症例の診療

虚弱高齢者や独居、家族関係に課題を持つなど、背景が複雑で体調が回復後の療養の場の選定に難渋するような方の対応に慣れております。在宅への復帰の支援や、在宅での療養が困難になってきた患者さんなどの介護調整や、施設入所の検討など、医療ソーシャルワーカーと連携し、ご本人やご家族と相談しながら、腰を据えて今後の療養について検討を行います。

④リハビリテーション

当院はリハビリセラピスト（理学療法士PT、言語療法士ST）との連携を密にしており、リハビリを積極的に行っています。回復期リハビリテーション病棟に入るほどではないが、リハビリを集中的に行いたいという方に最適です。

⑤かかりつけ医や在宅診療、高次医療機関との連携

普段かかりつけ医の診療を受けている患者さんや訪問診療を行っている患者さんが調子を崩された場合の入院診療を、積極的に行っています。状態が安定したのちに、再びかかりつけ医の先生の外来や訪問診療に戻っていただけるようお手伝いいたします。
設備に限界のある小病院ですので、専門的な検査や治療が必要と判断された場合や重症な病気で高度な治療が必要になる場合には、患者相談支援室と協力し、連携する適切な高次医療機関に紹介いたします。病状が落ち着きましたら、再び当院に戻ってこられて、引き続き診療を継続するなど、臨機応変な対応が可能です。

当院には急性期病棟とは別に地域包括ケア病棟があります。地域包括ケア病棟とは、急性期の治療を終えられた患者さんや急性期病棟での治療を必要としない患者さんが治療やご自宅への退院準備を行う病棟です。地域包括ケア病棟の入院期間は原則40日以内です。入院中はチームで患者さんのケアに取り組み、患者さんが安心してご自宅や施設にお戻りいただけるよう、在宅復帰への支援をいたします。また、在宅で療養中に急に具合が悪くなった場合や、介護者の事情（介護疲れ・病気療養など）によりご利用いただくこともできます。

当院は、医師初期臨床研修協力病院ならびに総合診療・家庭医療専門研修施設です。常時初期臨床研修医や総合診療・家庭医療専攻医が指導医の指導のもと診療をしております。

「聖母病院 総合診療専門研修プログラム／聖母病院 家庭医療・病院総合診療専門研修プログラム」についてはこちら。

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Last updated 2025.6.18